【39冊目】「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」

記事まとめ

  • 「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「物事や流れてくる情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、一旦立ち止まってよく吟味して、それっぽいことを言っている人に騙されないようにしないといけない」ということを学んだ
  • 世の中の人たちに騙されない人生を送りたい人に本書をオススメしたい

 

「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「世の中に存在する法則や情報が、それっぽいことを言っている後付けであることが多く、それらに騙されないようにするための考え方を教えてくれる本」です。

 

本記事のタイトルに「心理学本」と書きましたが、人の心理だけが書かれているわけではありません。

哲学的なことや経済学的なことも書かれていますが、僕としては人の心理に関する情報を多く得られたので「心理学本」と書かせてもらいました。

 

心理学を学ぶ専門書ではなく、専門用語が多いわけでもないので、比較的読み進めやすい本だと思います。

ちなみに僕は、本書を読み終えるのに、350分(5時間50分)かかりました。

 

本書は以前、本ブログで紹介した、「ファスト&スロー 」という本に近いです。

「ファスト&スロー 」では、本書の引用がありましたし、本書では、「ファスト&スロー 」の著者の研究内容の引用がありました。

 

本書を手にとった理由として、Amazon.comの創業者であるジェフ・ベゾスのオススメ本と紹介されていたからです。

以下のジェフ・ベゾスの伝記に記載がありました。

 

さて、本書ですが、「ファスト&スロー」の本と同様、人に騙されないために読むべき本だと思っています。

本書を読むと、あらゆる本やネットニュース、ネット情報を疑ってかかることになると思います。

 

僕はもともと懐疑的な傾向がありましたので、本書はすんなりと理解できました。

基本的に、成功法則やお金持ちになる方法というのは、「後付けだ」ということです。

 

同じような考えを持っている人は、その考えを強めるために本書を読むと良いかと思います。

成功法則の本を読むが、なかなか成功できなくて困っている人は、その理由を求めるために本書を読むと良いかもしれません。

 

僕は成功は「運」だととらえて、幸運が降りてくるまで諦めずに、スキルアップや情報収集など、行動を起こし続けることにしました。

 

その際、他人の作った成功法則をうのみにしません。

ただし、成功するまでに何をすればいいかわからない時は、参考にさせてもらうため、成功法則の本やビジネス本を読むことはやめないです。

 

以上のような行動を取ることにしました。

 

成功法則が人を騙そうとして存在しているわけではなく、人が自身の成功の秘訣などを法則化しようとする傾向があるようです。

 

このように、人の心理を学びたいと思っている人に本書をオススメします。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。



 

1. 「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について
  • 1-4. 僕が学んだこと

 

「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質」です。

 

タイトルの「ブラック・スワン」は、人の思い込みのようなことを表しています。

 

オーストラリアが発見されるまで、旧世界の人たちは白鳥と言えばすべて白いものだと信じて疑わなかった。‥はじめて黒い白鳥が発見されたとき、一部の鳥類学者(それに鳥の色がものすごく気になる人たち)は驚き、とても興味を持ったことだろう。
‥この話は、人間が経験や観察から学べることはとても限られていること、それに、人間の知識はとてももろいことを描き出している。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

また、タイトルの「上」のとおり、上巻と下巻に分かれており、本書は上巻です。

 

原著について

本書は翻訳本です。

原題は「THE BLACK SWAN」です。

 

原著は上巻と下巻には分かれていないようです。



 

1-2. 著者について

著者は、「ナシーム・ニコラス・タレブ」です。

以下のウェブサイトを運営しているようです。

Nassim Nicholas Taleb's Home Page

 

Twitterアカウントは以下のようです。

Nassim Nicholas Taleb(@nntaleb)

 

経歴

「ナシーム・ニコラス・タレブ」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

文芸評論家、実証主義者にて、非情のデリバティブ・トレーダー。レバノンでギリシャ正教の一家に生まれる。ウォートン・スクールMBA修了。博士号はパリ大学で取得。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

評論家が書いた本となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第1章 実証的懐疑主義者への道
第2章 イェフゲニアの黒い白鳥
第3章 投機家と売春婦
第4章 千と一日、あるいはだまされないために
第5章 追認、ああ追認
第6章 講釈の誤り
第7章 希望の控えの間で暮らす
第8章 ジャコモ・カサノヴァの尽きない運
- 物言わぬ証拠の問題
第9章 お遊びの誤り、またの名をオタクの不確実性
第10章 予測のスキャンダル

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」ではなく、「○○である。」という文です。

 

専門用語はそれほど出てきませんので、読み進めやすい本だと思います。

 

概要

本書は、日常生活にも仕事にも関係するような本だと思ってます。

「人」の心理や行動について描かれた本です。

 

主には、「騙される」「後付けでものを考える」ようなことについて書かれています。

 

そのため、日常生活の消費者の立場であれば、製品やサービスの情報や、ニュースや本などの情報に騙されないために本書を読むと有益になると思います。

また逆に、企業の立場であれば、「騙す」というと聞こえが悪いですが、「消費者を納得させる」という意味で本書を利用できると思います。

 

ブラック・スワンとは?

ブラック・スワンとは、白鳥は白いものだと信じていたものが、実は黒い白鳥も実在したという事実に驚き、人間が経験や観察する範囲は狭いことを表しています。

 

ブラック・スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の3つの特徴を持つ。予測できないこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすることだ。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

本書では上記引用文の、「いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすること」の例がたくさん出てきます。

 

例えば、以下のような話です。

以下の引用文は、「ファスト&スロー」という本で引用されていました。

 

2003年12月のある日、サダム・フセインが捕まったとき、ブルンバーグ・ニュースは13時1分にこんな見出しを流した。「米国債上昇。フセイン確保でもテロは減らない可能性も」
市場が動くと、必ず「理由」をつけないといけないとマスコミの連中は思い込んでいる。30分経てば、彼らはまた新しい見出しを流さないといけない。米国債の価格が下がり(価格は1日中上がったり下がったりしているから、下がったからといって別に何の不思議もない)、ブルンバーグ・ニュースは市場が下落した理由を新しく見つけてくる。サダムの確保だ(さっきと同じサダムである)。13時31分、次の見出しが流れた。「米国債下落。フセインの確保でリスク資産の魅力高まる」

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

上記では、同じ1つの原因(フセインが捕まったこと)が、正反対の説明に使われています。

 

つまり、何かの事象を説明するときに、自分に都合が良い原因を見つけ出し説明する人が多いということです。

その説明は、それっぽいことを言っており、正しそうに見えますが、必ずしも正しいわけではないということです。

 

人はそれっぽい理由をつけて説明したがる生き物

本書では基本的に、「成功は運」という考えです。

そうであるのに、成功者などは、成功する前ではなく、成功した後に、それっぽいことをこじつけて、相手が納得しそうなことを説明します

 

成功法則のようなものを作り出すわけですが、それは、相手に説明しやすくなるためのようです。

 

講釈の誤りは、連なった事実を見ると、何かの説明を織り込まずにはいられない私たちの習性に呼び名をつけたものだ。一連の事実に論理的なつながり、あるいは関係を示す矢印を無理やり当てはめることと言ってもいい。説明をすれば事実同士を結びつけることができる。そうすれば事実がずっと簡単に覚えられるし、わかりやすくなる。私たちが道を踏み誤るのは、この性質のせいでわかった気になるときだ。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

成功法則やニュース記事などは、「本当に正しい説明なのか?」ということを常に疑う意識を持って読んだほうがよさそうですね。

運で成功しただけなのに、それっぽいこじつけをしているだけで、何も有益な情報じゃない可能性があります。

 

成功の影で失敗している人の情報が含まれていない

成功法則などは、同じようなことをしたと思われる人、つまり、失敗した人の情報がほとんど含まれていません。

その成功法則を実施して失敗した人がいても、その人が情報発信しない、もしくはできないからです。

これを「物言わぬ証拠」と名付けています。

 

彼は信じる人たちが祈りをささげ、その後の遭難に出くわして生き延びた様子を描いた石版を見せられた。見せた人が言いたかったのは、神に祈れば難破しても生き延びられるということだった。ディアゴラスはこう尋ねた。「それで、祈って溺れ死んだ連中の絵はどこだ?」
溺れた信者は死んでしまった。海の底からでは、自分の経験を吹聴するのはなかなかに難しい。そのおかげで、ちょっと見ただけだと奇蹟を信じそうになる。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

成功法則やサクセス・ストーリーは、このように、全体像が見えないから、真に受けるのはやめたほうがいいという主張です。

 

情報をうのみにしないためにどうすればいいのか?

情報をうのみにして、誤った解釈をしないためには、考えることだと主張しています。

見たものをそのまま受け取るのではなく、少し考える必要があるということです。

 

これは「ファスト&スロー」という本でも同じことを言っていました。

以下の引用文でも、「ファスト&スロー」のシステム1とシステム2という概念が出てきてます。

 

動物からできるだけ遠く離れた高級な生活へ近道をしたければ、講釈を捨てなければならない。つまり、テレビを消して、新聞を読む時間はできるだけ短くし、ブログは無視しなければならない。自分の判断をコントロールできるよう推論を行う能力を鍛えないといけない。大事な決断をするときはシステム1(ヒューリスティック、つまり経験にもとづくシステム)を追い払わないといけない。目立つものと実証されたものの区別ができるようにならないといけない。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

講釈の誤りを避けるために、「物語よりも実験を、歴史よりも経験を、理論よりも臨床的知識を重んじる」ように説いてます。

 

物事や情報を得られたら、そのまますぐに受け取るのではなく、ちょっと考えてから、情報を処理する方が良さそうですね。

世の中に騙されたくない人にオススメ

情報によって不利益が発生したら、騙されたことになると思います。

お金の損でも、時間の損でも、なんでもいいですが、損をしたら騙されたと判断するでしょう。

 

成功法則やサクセス・ストーリー、ネット記事、ニュースの多くは、意図的に騙そうとしているわけではないと思っています。

ただ、それらが作り上げた説明は、本当にあなたに当てはめることができて、役に立つ情報になるのかどうかということです。

そこをしっかり判別できるようになる必要があります。

 

本書では、後付けやそれっぽい説明と思われるような事例がたくさん出てきますので、そういう事例に触れて、今後、実際の生活において不利益を被らないように対処できると思われます。

世間に騙されたくないと思っている人に、オススメできる本だと思います。

 

1-4. 僕が学んだこと

本書の内容とともに、僕が学んだことをまとめていきたいと思います。

 

①起業の成功も運

著者は基本的に「成功は運」だという考えです。

 

僕は、運、努力、才能、親の援助、友人の援助など、すべての要素が必要だと思ってました。

それぞれ「どの程度」という定量的には表せませんし、1つや2つがなくてもいいと思ってました。

つまり、どんな要素でもいいので、とにかく「行動しよう」という考えです。

 

本書では、計画を立てることはあまり勧めていませんでした。

「将来予想なんて誰もできない」という考えだからです。

 

今後見ていくように、社会科学で教えているのとは違って、設計図や計画にもとづいて実現した大きな技術革新なんていうものはない。技術革新は黒い白鳥なのだ。発明家や起業家がとる作戦は、全体を描く計画はあまりあてにせず、できるだけあれこれいじくりまわして、チャンスがやってきたときに、それを捕まえるというやり方だ。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

とにかく行動だということですね。

行動を起こさないとチャンスが来ても対応できませんからね。

 

「幸運が舞い降りてこなければ成功しない」ということで、努力したくなくなる人もいるかもしれません。

そこが成功するかどうかの分かれ道になるのだと思います。

 

そんなことを気にせず、幸運が降りてくることに賭けて、とにかく行動し続けることが大事だと思ってます。

 

②将来を予測するような専門家に注意

本書では、将来予測をするような専門家に対して、結構攻撃的な発言をしています。

「将来の予測なんてできるわけがない」という考えが著者にはあるため、そういうことを専門にしている人たちに対して、いろいろ言いたいことがあるようです。

 

こうした例であらわになる「専門家」の一般的な欠陥を詳しく見ていこう。彼らは不公平な勝負をしている。自分がたまたま当たったときは、自分はよくわかっているからだ、自分には能力があるからだと言う。自分が間違っていたときは、異常なことが起こったからだと言って状況のせいにするか、もっと悪くすると、自分が間違っていたことさえわからずに、また講釈をたれてはしたり顔をする。自分がちゃんとわかっていなかったんだとは、なかなか認めない。でも、こういう持っていき方は、私たちのありとあらゆる営みに現れる。私たちの中の何かが、自尊心を守るように働いているのだ。

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

こういった専門家はたくさんいると思います。

このような専門家が出す情報をどのように処理するかは、情報を受け取った人が自由にできます。

本書を読んだ人であれば、適切な対応ができるようになるのではないかと思ってます。

 

③将来予測を悪いことで利用する人に注意

著者は、しっかりと、自分は将来予測はできないと宣言しています。

実は著者の本が、将来予測をしてしまったように見える出来事があったようです。

 

おかしかったのは、私が書いた『まぐれ』が2001年9月11日の1週間前に出版されたときだ。この本には飛行機がオフィスに突っ込む可能性の話が出てくる。そうして私は「どうやってあんな事件が起こるのを予測したか」話せなんて言われることになった。予測なんかしていない。まぐれでそういうことになっただけだ。お告げが聞こえるフリなんかしてないぞ!

ブラック・スワン 上 不確実性とリスクの本質

 

著者は正直な人だからよかったですが、悪い人であったなら、利用していたでしょう。

 

「この雑誌の情報がよかった」といえば、その雑誌が売れるかもしれません。

 

「〇〇と〇〇のおかげです」と言って、何かしらそれっぽい理由をつけて説明してしまえば、一部の人は信じてしまうと思います。

そう言う人に対して、「お金を取る」ような行為をしてしまうことも可能です。

 

予測はできないものであり、当たったのなら「まぐれ」だと思った方が、人に騙される回数は減っていくと思います。

 

2. 終わりに

上巻を読むことで、騙されないような心構えができるようになった気がします。

 

とにかく、疑ってかかって、しっかり考えることだと思ってます。

 

また、基本的に、「将来予測はできない」「成功法則はない」ということを前提として覚えておく方が良さそうです。

 

このように、世の中に騙されないように準備をするために、本書を手にとってみてください。

 

(2020年3月15日追記)
「ブラック・スワン 下 不確実性とリスクの本質(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」のレビューを以下の記事で書いてます。

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