【56冊目】「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営(著者:ハワード・シュルツ、ジョアンヌ・ゴードン)」

記事まとめ

  • 「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営(著者:ハワード・シュルツ、ジョアンヌ・ゴードン)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「会社の存続のためには、どれだけ従業員を大切にしている経営者でも、ときには解雇という厳しい決断も必要だ」ということを学んだ
  • 会社経営における成功の秘訣を学びたい人に本書をオススメしたい

 

「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営(著者:ハワード・シュルツ、ジョアンヌ・ゴードン)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「会社経営における成功の秘訣は、お客さまと従業員に真心を込めて接することであるが、状況や環境の変化により、ときに、解雇という厳しい決断も必要になるということを教えてくれる本」です。

 

本書は、コーヒーチェーン店の物語で、専門用語などは少なく、読みやすい本となってます。

ちなみに僕は、本書を読み終えるのに、348分(5時間48分)かかりました。

 

以前、同じ著者の「スターバックス 成功物語」を読みました。

 

そちらの本では、著者の幼少期の話からスターバックスが成功するまでの物語が語られており、著者がいかに顧客と従業員を大事にしているかがよくわかる本でした。

 

本書はその続きの物語です。

著者がCEO(最高経営責任者)を引退し会長になるのですが、数年後の2007年に、会社の業績が悪化していくのが分かり、2008年1月にCEOに復帰します。

そして、スターバックスを再生するために、著者が実施した行動やその考え方が、本書の物語の中で語られていきます。

 

「スターバックス 成功物語」では、パートタイマーに健康保険制度を適用したり、従業員に自社株購入権を与えたり、従業員のことを大事にするCEOというイメージでした。

 

このままいくのであれば、業績が悪化したとしても、従業員に負担をかけることなく、再生させていくのかと思われますが、実際はそのようにはいきませんでした。

従業員の解雇など、苦渋の決断をしていきます。

 

そのほか、7,100店舗を従業員の研修のために一時的に閉鎖したり、今まで否定していたインスタントコーヒーの販売など、スターバックスを再生するために、大胆な取り組みをしたり、従来の考え方を改めたりしていきます。

 

そして、最後にはスターバックスは再生していくのですが、それまでの著者の行動や考え方が、経営者や起業家の人に有益な情報になるのではないかと思ってます。

 

そのため、会社経営を行う予定の人や起業予定の人にオススメの本となります。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。



 

1. 「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営(著者:ハワード・シュルツ、ジョアンヌ・ゴードン)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について
  • 1-4. 僕が学んだこと

 

「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営(著者:ハワード・シュルツ、ジョアンヌ・ゴードン)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「スターバックス 再生物語 つながりを育む経営」です。

 

スターバックスはコーヒーチェーン店です。

タイトルの「再生物語」のとおり、業績が悪化した2007年に、著者が引退したCEOに復帰し、業績を元に戻していく物語となってます。

 

原著について

本書は翻訳本です。

原題は「Onward: How Starbucks Fought For Its Life without Losing Its Soul」です。

 

タイトルの「Onward」は、「未来へ」という意味のようです。

 

著者が1986年に設立した「イル・ジョルナーレ」という小売りのコーヒー会社で社員に宛てたメモやスターバックスのCEOに復帰して従業員に書いたメモの結びで使った言葉となります。

 

以下は「イル・ジョルナーレ」でのメモのことです。

 

「感謝を込めて」といった結語ではなく、「オンワード(未来へ)」という言葉で結び、署名した。
‥わたしたちの小さな企業が立ち向かう、困難で、しかし、心躍る冒険の旅にふさわしい号令だと思った。前のめりになって、すばやく、まっしぐらに。必ず成功するという決意で、頭をまっすぐに伸ばして前に進もう、という気持ちを込めた。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

以下は、スターバックスのCEOに復帰したときのメモのことです。

 

最初のメモ「変革に向けたアジェンダ 通信#1」は、わたしがCEOに復帰した2008年1月7日に発信された。3月初めまでに、こうしたメモを10通以上送信した。そして、すべて同じ言葉で結んだ。わたしたちの歴史の力と未来の可能性を表し、情熱と計画性を示しながら、手ごわい問題を克服して前進するための自信を呼び起こす言葉。進んで両手を泥だらけにして地面を深く掘りつつ、常に頭を高く上げていられる言葉である。
「オンワード(未来へ)」 -。
わたしが20年以上前に初めて使った言葉だった。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

どちらのメモでも、前向きな言葉として使ってます。

著者は、本書を読む限り、情熱的な人物ですので、ぴったりの言葉だと思います。



 

 

1-2. 著者について

著者は、「ハワード・シュルツ」と「ジョアンヌ・ゴードン」です。

 

「ハワード・シュルツ」が運営しているウェブサイトとTwitterアカウントは見つけることができませんでした。

 

「ジョアンヌ・ゴードン」の運営しているウェブサイトは以下です。

JOANNE GORDON

Twitterアカウントは見つけることができませんでした。

 

経歴

「ハワード・シュルツ」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

ニューヨーク育ち。1982年、まだ4店舗しかなかったスターバックスコーヒーカンパニーにマーケティング責任者として加わり、シアトルへ移る。その後、スターバックスを買収し、同社を高い企業倫理で知られる世界的なコーヒーチェーンへと育て上げた。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

「ジョアンヌ・ゴードン」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

元『フォーブス』誌記者、編集者。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

本書は、スターバックスの会長兼最高経営責任者が書いた自伝となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第1章 真実のコーヒー
第2章 ラブストーリー
第3章 見せかけ
第4章 秘密は存在しない
第5章 マジック
第6章 ロイヤルティー
第7章 信じる
第8章 信頼の貯水池
第9章 新しい見方
第10章 勝つために
第11章 中核事業を改善する
第12章 泥にまみれて
第13章 存在の理由
第14章 広い心
第15章 現状を打破する
第16章 大胆な取り組み
第17章 つむじ風
第18章 致命的な組み合わせ
第19章 敬意
第20章 特効薬はない
第21章 真実を実現させる
第22章 危機のなかの真実
第23章 元気が出る瞬間
第24章 すばやい動き
第25章 プランB
第26章 やり遂げる
第27章 イノベーション
第28章 確信
第29章 点をつなぐ
第30章 バランス
第31章 良心
第32章 勝利
第33章 ニイハオ

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」ではなく、「○○である。」という文です。

 

慣れ親しんでいるコーヒーを提供する会社の物語なので、読みやすい本となっています。

 

概要

本書は自伝です。

スターバックスというコーヒーチェーン店のCEOが書いた本です。

 

自伝のため、著者目線における、経営に関する考え方がたくさん含まれています。

 

著者は顧客と従業員を大切にする経営者

著者の印象は、とにかく、顧客と従業員を大切にしているという印象です。

ここまで顧客と従業員にこだわるのは、会社を成功させるためには、顧客と従業員が大事だという考えに他なりません。

 

お客様の信頼を得ることが会社の成功の秘訣だとし、そのためには、従業員(著者はパートナーと呼んでいる)との信頼も必要であるという考えです。

 

投資家は自社所有・運営のモデルをやめ、店を第三者に経営させてロイヤルティー料をもらうフランチャイズ制にすることを望んでいた。一見、経済的には正しい選択のように思える。フランチャイズ制にすれば、活動資金が増え、投資収益率が大幅に増加する。しかし、店の所有権を何百人という人に許可すれば、パートナーたちの会社に対する基本的な信頼を維持するのは難しくなる。つまり、お客様との信頼や絆を築けなくなるということだ。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

著者はスターバックスというコーヒーチェーン店を、お客様の憩いの空間にすることにこだわっています。

美味しいコーヒーを提供できれば良いという考えではなく、場所としての居心地の良さも重要だという考えです。

 

それらを提供できるのは、経営者ではなく、現場で働く従業員(パートナー)ですから、従業員を大切にするわけです。

従業員から見ると、非常に良い経営者だと思います。

 

業績悪化時には、厳しい決断も必要とされる

そんな従業員思いの著者ですが、厳しい決断をしないといけませんでした。

大量解雇です。

 

著者は2000年にCEO(最高経営責任者)を引退し、日常業務ではなく、海外戦略や拡大に注力するようになったのですが、その間、さまざまな理由でスターバックスの良さが損なわれていき、業績が悪くなっていきます。

 

業績が悪くなったいくつかの理由は以下のようなものです。

 

スターバックスの業績悪化の要因
・自動エスプレッソマシンを導入し効率的になったが、高さがあり、カウンターのなかのバリスタが飲み物を作る姿が見えなくなった。また、バリスタがお客様の対応ができなくなった
・店舗では、挽きたてのコーヒーから立ち上る重厚な、誘うような、豊かな香りがほとんどしなくなっていた。これは主に、挽いたコーヒーの粉を出荷し、保管する方法に変えたためだった

 

効率的な方法を選んだのは良いですが、店で実現したかった良い空間を損なってしまったということです。

 

そして、業績が悪くなっていることが分かったため、2008年に著者はCEOに復帰します。

2008年というと、リーマンショックの頃であり、この不況も、著者を苦しめていくことになります。

 

これらの状況により、7,100店舗のうち、業績不振の600の店舗を閉店させることになりました。

 

従業員思いの著者としては厳しい決断だったようです。

ただ、「残りの6,500店舗の長期的な健全性を確保するためにはやるしかなかった」と言っています。

 

著者の従業員思いを知っている僕としては、解雇という選択肢を取らないで、他の方法でなんとか切り抜けるのかと思ったのですが、業績悪化時や不況時は、どうしてもそれではうまくいかないことがあるのだと学びました。

 

大胆な決断や過去の凝り固まった考えを変える

著者がスターバックスを再生するための取り組みはいくつもあるのですが、大胆な決断や過去の凝り固まった考えを変えたことがよかったのだと思ってます。

 

まず、大胆な決断です。

 

2008年2月のある火曜日の午後、米国スターバックスは、国内にある7,100店舗全部を一時的に閉鎖した。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

この閉鎖により、600万ドルの損失を出したそうです。

 

この閉鎖の目的は、完璧なエスプレッソを作るために、13万5000人のバリスタを再研修するためでした。

研修用フィルムが7,100台のDVDプレイヤーとともに7,100店舗に配布され、バリスタの技術向上を図ったようです。

 

そのほか、過去の凝り固まった考えを変えたこととしては以下のようなものです。

 

著者の凝り固まった考え
・チーズの匂いが店内に充満するためブレックファスト・サンドイッチは販売しない
・インスタントコーヒーは味が劣るため、スターバックスでは販売しない

 

これらについては従業員が研究を重ね、匂いを軽減させたり、美味しいインスタントコーヒーを開発することで、著者の考えが変わりました。

 

著者は一見頑固に見えるところもあります。

コーヒーへのこだわりや、店舗へのこだわりです。

 

ただ、時に柔軟に考えを変えることがあります。

これが著者の良さであり、スターバックスが成功を勝ち取った理由なのだと思いました。

 

会社を再生していく考え方を知りたい人にオススメ

会社を0から立ち上げて成功させる物語は、読んでいて非常に面白いものです。

そういった本はたくさんあります。

 

本書はそれとは違い、成功後に落ち込み、再度成功を勝ち取るという物語です。

 

再生するための考え方も学べますが、なぜ成功した会社が落ちていったのかも学べます。

会社を成功させ、成功を維持させたいと思っているのであれば、学べるところはたくさんあると思います。

 

そのため、起業を考えている人や会社を経営しようとしている人に、本書をオススメしたいと思います。

 

1-4. 僕が学んだこと

本書の内容とともに、僕が学んだことをまとめていきたいと思います。

 

①製品やサービスが良ければすべてうまくいくわけではない

会社は製品やサービスを提供し、お客様はそれらを受けます。

製品やサービスが良ければいいという考えもあるとは思いますが、その裏で動いているものも重要だということでした。

 

責任はわたしにもあった。サプライチェーンには、会長時代もCEO時代にも、それほど注力してこなかった。率直に言って、会社のエンジン部ばかりに目がいっていたのである。スターバックスのブランドを構築し、スターバックス体験をつくり出し、パートナーたちを刺激して売り上げを伸ばす。それがわたしにとって最も大きなことであり、情熱であり、スキルであったので、そこに力を注いだ。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

サプライチェーンの他にも、お客様から意見をもらうウェブサイトなども構築していきました。

店舗で使っている古いパソコンを新しい性能が良いものに変えたりもします。

 

こういった製品やサービスとは別のところも、会社を成功させるためには注力しないといけないと学びました。

それが、お客様に良いサービスを提供することにもつながるということです。

 

製品やサービスがどれだけ良くても、在庫がなかったり、長い行列を待たないといけなかったら、離れていくお客様もいるはずですからね。

 

②説得する際は対面で!

技術の進歩により、出張をすることなく、インターネット経由の会議を行えるようになってます。

 

小さな会議や打ち合わせではそのようなインターネット経由の会議で良いですが、「ここぞ」という大事な場面では、やはり対面の打ち合わせを行うべきだと学びました。

 

7月の大量解雇と店舗閉鎖によって、スターバックスは金だけでなく、パートナーの信頼も失っていた。新しいミッションを中心にマネジャーたちを集め、収益性の高い店舗経営を学んでもらわなければ、会社は沈没する。それは間違いない。
しかし、彼らの心と気持ちを掌握するのは、直接会うしかない。デジタルメディアにも人々をまとめ上げる力はあるが、最も誠実で、持続力がある人間関係は、スクリーンを介してではなく、直接会って目を合わせることだとわたしは信じている。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

テレビスクリーンから発せられる言葉と、その場で直に見ている環境で発せられる言葉は、やはり説得力が違うと思います。

その場の雰囲気や緊張感が、影響しているのだと思います。

 

従業員も感情を持った人間です。

ロボットではないため、そういった雰囲気に飲み込まれることがあると思います。

これは悪い意味ではなく、良い意味で使うべきです。

 

そういった雰囲気を作り出して、従業員をまとめあげていく。

これも1つのテクニックであり、戦略だと思います。

 

こういう経営者になりたいですね。

 

③あきらめずに改善し続ける

お客様の要望や従業員の要望で、会社(経営者)がどうしても理解してくれないことはあると思います。

それらは諦めずに、説得できるよう取り組むことが大事だと学びました。

 

以下は、ブレックファスト・サンドイッチという商品が、チーズのにおいが強く、店内のコーヒーの香りを損なうため、販売停止になったときの話です。

販売停止を強く支持していたのは著者ですが、考え方が変わりました。

 

‥フード部門では、わたしの不満とお客様の願いに取り組むために研究を続け、材料の質を改善 - 脂肪の少ないベーコン、高品質のハムとチーズ - することで、においを軽減できることを発見した。また、強烈なにおいはイングリッシュマフィンにも原因があるとわかり、供給業者にレシピを変えてもらったり、チャパタなどのパンも使うようにした。‥その結果、コーヒーによく合う(とわたしも認めざるをえない)ものができた。
2008年6月、わたしはブレックファスト・サンドイッチの再販売を認めた。

スターバックス 再生物語 つながりを育む経営

 

現場の従業員が、お客様の願いを実現するために頑張った成果です。

どれだけ経営層が反対しても、説得できる材料を用意すれば、お客様の願いをかなえることは可能だということを学びました。

 

諦めないことが重要ですね。

 

2. 終わりに

企業を成功させるのは簡単ではないと思ってます。

また、成功させた企業を成功させ続けるのも簡単ではないと思ってます。

 

どんなに優秀な人材や最新設備を集めたとしても、流行や行動のちょっとした方向性の違いにより、大きく傾いてしまうのが、会社なのだと思います。

 

本書は、成功を維持し続けるために必要な知識を教えてくれます。

当然、どんな企業にも当てはまるというわけではないですが、参考になるのではないでしょうか?

 

自分の所属する企業を永続的に成功させていきたいと思っている人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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