経営書のレビュー「イノベーションと企業家精神」

記事まとめ

  • 「イノベーションと企業家精神(著者:P. F. ドラッカー)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「イノベーションは運に任せるのではなく、体系的に探し求めることができる」ということを学んだ
  • イノベーションの起こし方を知りたい人に本書をオススメしたい

 

「イノベーションと企業家精神(著者:P. F. ドラッカー)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「イノベーションを起こすための方法と考え方について教えてくれる本」です。

 

本書は、大学で使われる専門書のような、哲学書のような文体のため、読み応えのある本です。

ちなみに僕は、本書を読むのに、3時間56分かかってます。

 

2020年5月現在、経営学者のドラッカーの書籍を読み進めています。

本書は、イノベーションに関する本です。

 

イノベーションとは、「より優れた、より経済的な財やサービスを創造すること」です。

「より○○」というのが重要なところでしょうね。

今あるものよりも、優れており、経済的であるものです。

 

iPhoneは携帯電話としてのイノベーションとされています。

電球や電話もイノベーションだと思います。

 

このように、イノベーションとは一見、技術的なものだと思われますが、本書で定義しているイノベーションは、そういったものだけではありません。

「仕組み」のようなものも、イノベーションになります。

より幅広く意味を広げています。

 

そのため、製造業だけでなく、サービス業の人がイノベーションを起こしたいといった場合も、本書が参考になるでしょう。

イノベーションを起こす方法や考え方を知りたい人に本書をオススメします。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。



 

 

1. 「イノベーションと企業家精神(著者:P. F. ドラッカー)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について
  • 1-4. 僕が学んだこと

 

「イノベーションと企業家精神(著者:P. F. ドラッカー)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「イノベーションと企業家精神」です。

 

タイトルの「企業家精神」とは、まったく新しいことを行うことに価値を見出すことです。

 

企業家精神とは、すでに行っていることをより上手に行うことよりも、まったく新しいことを行うことに価値を見出すことである。

イノベーションと企業家精神

 

今ある製品やサービスを改良することは悪いことではありません。

顧客にとって価値あることだと思います。

 

ただ、それと同時に、より価値あるものをまったく新しい方法で創り出すことも重要であるということです。

 

原著について

本書は翻訳本です。

原題は「INNOVATION AND ENTREPRENEURSHIP」です。

 

「ENTREPRENEURSHIP」は「企業家精神」ですが、「起業家」という言葉もあります。

訳者によると、本書は、1985年の原著の最新訳のようで、前訳では、「起業家精神」としていたようです。

 

「起業家」は業を起こす人だけに当てはまりそうな言葉ですが、「企業家」であれば会社で働く人すべてに当てはまりそうです。

そのため訳語を変えたのだと思われます。



 

 

1-2. 著者について

著者は、「P. F. ドラッカー」です。

 

2005年に亡くなられており、運営しているウェブサイトやTwitterアカウントは見つけることができませんでした。

 

経歴

「P. F. ドラッカー」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。

イノベーションと企業家精神

 

経営思想家が書いた本となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第1章 イノベーションと企業家精神
第2章 イノベーションのための七つの機会
第3章 予期せぬ成功と失敗を利用する
第一の機会
第4章 ギャップを探す
第二の機会
第5章 ニーズを見つける
第三の機会
第6章 産業構造の変化を知る
第四の機会
第7章 人口構造の変化に着目する
第五の機会
第8章 認識の変化をとらえる
第六の機会
第9章 新しい知識を活用する
第七の機会
第10章 アイデアによるイノベーション
第11章 イノベーションの原理
第12章 企業家としてのマネジメント
第13章 既存企業における企業家精神
第14章 公的機関における企業家精神
第15章 ベンチャーのマネジメント
第16章 総力戦略
第17章 ゲリラ戦略
第18章 ニッチ戦略
第19章 顧客創造戦略
終章 企業家社会

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」ではなく、「○○である。」という文です。

 

本書は、大学で使われる専門書のような、哲学書のような文体のため、読み応えのある本になってます。

 

概要

本書は、仕事に関する本です。

「仕事」といっても、日々の仕事に役立つテクニック集ではなく、考え方を学べる本です。

主に、イノベーションを起こす方法や考え方を学ぶことができます。

 

アイデアによるイノベーションの成功は難しい

本書を読むと、イノベーションは、待っていたら来るようなものであるが、見つけようと意識しないと見落とすものだと感じました。

 

イノベーションと聞いてイメージするのは、アイデアやひらめきによるイノベーションだと思います。

考え事をしていたら、パッとひらめいて、世界を変えるようなサービスが生み出されるようなイメージです。

 

本書でもそういうイノベーションの説明もありますが、著者はあまりオススメしていません。

アイデアによるイノベーションは、ラスベガスのスロットマシーンを回すようなものだということです。

 

「イノベーションに成功する者は発明しつづける。何でも試す。そのうちに成功する」という。しかし、続けていればやがて成功するという考えは、ラスベガスのスロットマシーンで儲けるには、レバーを引きつづければよいというのに似ている。

イノベーションと企業家精神

 

アイデアというのは、そもそも曖昧なものであるため、予測が難しく失敗の確率が多いということです。

 

実際に、ジッパーを発明した者以外で、衣類をとめるのにボタンやホックでは不都合だななどと考えた者が何人いたか。あるいは、ボールペンを発明した者以外に、あの19世紀の発明たる万年筆に欠陥があり、その欠陥が何であるかを考えた者が何人いたか。
‥あとになって答えることは容易である。だが事前に答えることはできるだろうか。

イノベーションと企業家精神

 

ひらめいたアイデアでは、それが成功するかどうかがまったく予想できません。

成功の兆候が見えないからです。

 

そのため著者は、兆候(変化)を見つけることを勧めています。

 

イノベーションは変化を見つけることから始める

イノベーションは変化を探すことから見つかるようです。

 

イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである。それらの変化が提供する経済的、社会的イノベーションの機会を体系的に分析することである。

イノベーションと企業家精神

 

本書では、7つの変化を示しており、それぞれについて、変化のとらえ方が説明されていきます。

 

  1. 予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事
  2. 現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ
  3. ニーズの存在
  4. 産業構造の変化
  5. 人口構造の変化
  6. 認識の変化
  7. 新しい知識の出現

 

「予期せぬ成功」が分かりやすいかもしれません。

百貨店の例が示されていましたので紹介します。

 

‥メイシーの会長から、家電の売行きを抑えるにはどうしたらよいかと相談された。「どうしてですが、損をしているのですか」と聞いたところ、「いや、婦人服よりも儲かっている。返品や万引きもない」
‥「いや、以前は婦人服の客に家電を売っていたが、この頃では家電の客に婦人服を売っているくらいだ」

イノベーションと企業家精神

 

メイシーの会長は、「売上の7割は婦人服であるべき」という考えだったそうです。

そのため上記引用文のように、予期せぬ「家電の売上増」を抑えようしています。

 

これは間違った選択です。

家電が急激に売れるようになったのは、「予期せぬ成功」です。

この予期せぬ成功をうまく利用することがイノベーションの第一歩なのです。

 

こういった変化をとらえることが大事であり、変化を受け入れるべきだと感じました。

以下は、「現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ」の説明の章の引用です。

 

何かが起こっているらしいことがわかることはある。ところがなぜ需要の増大が業績の向上に結びつかないのかはわからない。しかしイノベーションを行うためには、必ずしも物事が動くべき方向に動かない原因を知ろうとして苦労する必要はない。このギャップをイノベーションの機会として利用するためにはどうすべきか、何がそれを機会に変えてくれるか、何ができるかを問えばよい。

イノベーションと企業家精神

 

仕事における報告では、ある目標に向かっている中で、ぶつかった課題についての報告が9割を占めると思います。

そのため、このような予期せぬ成功は無視される傾向があるようです。

 

失敗や課題に目を向けすぎていて、成功を見落としています。

 

イノベーションを起こしたいのであれば、こういった予期せぬ変化を意識的に見ることが大事だと学びました。

イノベーションを起こしたい人にオススメ

イノベーションは待っているだけで起こせるようなものではなく、見つけようとすべきです。

また、パッとひらめくようなものだけでなく、仕事上で発見できる「変化」を利用することで、よりイノベーションを起こしやすくなります。

 

そのためには、意識的に組織的に、イノベーションを探す環境を作っていくことが大事だと思いました。

 

本書は、そのような環境を作るための方法や考え方を学べる本となりますので、企業で働くすべての人に、オススメしたいと思います。

 

1-4. 僕が学んだこと

本書の内容とともに、僕が学んだことをまとめていきたいと思います。

 

①分析とは問題提起である

イノベーションを起こすためには、「分析」が必要です。

僕はこの分析を、「何か複雑なものから成功の種のようなものを見つけ出すこと」と捉えていました。

ただ、それは良い表現ではなく、本書の表現が正しいと思います。

 

それが、「問題提起」です。

 

しかし、分析から得られるものは診断にすぎない。その診断にさえ判断が必要である。さらには事業、製品、市場、顧客、技術についての知識が必要である。分析に加えて経験が必要である。‥私が企業のレントゲン写真と名づけたこのライフサイクル分析にしても、正しい答えを自動的に出すためではなく、正しい問いを知るための道具にすぎない。分析とは企業内のあらゆる知識とあらゆる経験に対する挑戦である。それはまさに問題提起である。

イノベーションと企業家精神

 

分析は、答えを見つけるものではないです。

「問い」を見つけるものです。

 

分析の結果得られたものに対して、「〇〇じゃないかな?」という問いが生まれます。

その問いの答えは、分析ではなく、頭で考える必要があると思います。

 

その問いの答えが、イノベーションにつながるものだと思いますが、分析の結果得られるものは「問い」であるため、それはイノベーションではありません。

 

分析とはそういう位置づけなのだと分かりました。

分析で終わりではなく、その次が一番重要なのだと思います。

 

②常に顧客が正しい

ドラッカーの書籍で共通していることが「顧客が常に正しい」という姿勢です。

顧客のことを考えて事業を行うことを、常に書籍で説明しています。

 

企業と顧客の間でギャップを感じたら、まずは企業側を疑ってみたほうがよさそうです。

 

メーカーは合理的に行動しない顧客のことをこぼす。しかし合理的に行動しない顧客などいない。昔からいわれれるように、いるのは不精なメーカーだけである。顧客は合理的に行動する。単に顧客の事情がメーカーの事情と違うだけである。

イノベーションと企業家精神

 

価格も顧客が決めます。

 

「顧客が製品に対して支払うものは、われわれにYドルをもたらさなければならない。しかし、顧客がどれだけ支払うかは顧客次第である。製品が顧客のためにできること次第である。顧客の事情に合うもの次第である。顧客が価値とするもの次第である」

イノベーションと企業家精神

 

常に、顧客の視点で考えることが重要だと思いました。

 

安くしても売れないのは、顧客がその価格に満足できないからだと思います。

逆に、高いのに売れるのは、顧客がその価格でも満足できるからです。

 

価格の設定は企業で行いますが、最終的な価格は、顧客が決めることになると分かりました。

そういう考えで、価格を決めていく必要があると思います。

 

高い価格で売りたいのであれば、それだけ払っても顧客が満足できる価値を作るしかありませんね。

 

2. 終わりに

まとめ

  • 「イノベーションと企業家精神(著者:P. F. ドラッカー)」は、イノベーションの起こし方を知りたい人にオススメ
  • 本書を読むことで、「イノベーションは運に任せるのではなく、体系的に探し求めることができる」ということを学べる

 

僕は本書を読む前に、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら(著者:岩崎 夏海)」を読んでます。

 

本書を最後まで読み進めることができたのも、その本を読んでいたからかもしれません。

もし一度読んで挫折したが、もう一度挑戦しようと思っている人は、上記の本を先に読んでみてください。

 

 

「イノベーション」という言葉はただ単にカッコいいから実現したいという思いがあります。

これではダメだと思いますが、とにかく良いイメージしかありません。

 

人生に一回でいいので、世の中を変えるようなイノベーションを起こしてみたいですよね。

 

本書はそのイノベーションを起こす方法や考え方を学べる本となっています。

イノベーションを起こしたいと思っている人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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