【43冊目】「はじめての哲学的思考(著者:苫野一徳)」

記事まとめ

  • 「はじめての哲学的思考(著者:苫野一徳)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「哲学とは、物事の本質について考え続け、みんなが納得できるような答えにいくつくようにすることだ」ということを学んだ
  • これから哲学の本を読もうと思っている人に本書をオススメしたい

 

「はじめての哲学的思考(著者:苫野一徳)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「難しいイメージである哲学について、日常生活や仕事にも生かせるような話を織り交ぜながら、分かりやすく教えてくれる本」です。

 

本書は「はじめての」というタイトルのとおり、哲学を学んでいない人にとって、非常に分かりやすい説明がされているため、読みやすい本です。

ちなみに僕は、本書を読み終えるのに、180分(3時間)かかりました。

 

本書を読もうと思ったきっかけは、「哲学とは」という用語をネット検索したときに、以下の記事がヒットし、読むと非常に面白く、引き込まれたためです。

webちくま(はじめての哲学的思考)

 

上記の記事は、本書の前半部分となるため、まずは上記を読んでみてもらいたいです。

「哲学」を難しいものだと思っている人は、新しい発見をすることになると思います。

 

僕は、上記の記事を読んで、「哲学」は日常生活や仕事にも応用できることだと感じました。

特に、仕事での会議や打ち合わせです。

 

僕の経験では、異なる部署間だと、話し合いがうまく進まないことが多々ありました。

 

これらは、「仕事や会社の目的に対して、共通認識ができていなかった可能性」「どんな意見でも帰謬法(きびゅうほう)を使って否定する人がいた可能性」があったように思います。

帰謬法は本記事で説明します。

 

僕は、「哲学は、答えが出にくいことを考え続け、頭を鍛えるものだ」と思っていたのですが、全然違うということを教えてもらいました。

 

確かに答えが出ないこともあると思いますが、「命題について認識を合わせて、そして、双方が妥協ではなく、納得できるような答えに近づいていくことが哲学だ」と学びました。

 

もしかしたら、別の意見がある哲学者もいらっしゃると思いますが、初心者の僕としては、本書で語られる哲学の意味が非常にしっくりきましたし、より興味をそそられるようになりました。

今後、過去の哲学者から今日の哲学者までの本(考え方)を読んでいきたいと思うようになりました。

 

哲学についてまったく知らないけれど、「教養を深めるべきだ」とか「哲学を知らないなんて‥」といわれるのが嫌だから学ぼうと思っている人は、ぜひ最初の1冊として本書をオススメします。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。



 

 

1. 「はじめての哲学的思考(著者:苫野一徳)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について
  • 1-4. 僕が学んだこと

 

「はじめての哲学的思考(著者:苫野一徳)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「はじめての哲学的思考」です。

 

「はじめての」というタイトルのとおり、哲学者の本を読む前に、哲学とは何かを知るためには最適な本だと思います。

 

1-2. 著者について

著者は、「苫野一徳」さんです。

以下のウェブサイトを運営しているようです。

苫野一徳Blog

 

Twitterアカウントは以下のようです。

苫野一徳(@ittokutomano)

 

経歴

「苫野一徳」さんの経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

熊本大学准教授。博士(教育学)。‥専攻は、哲学・教育学。

はじめての哲学的思考

 

大学の准教授が書いた本となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第1講 哲学は役に立つ
第2講 宗教とは何がちがうの?
第3講 科学とは何がちがうの?
第4講 科学とは何がちがうの?(続)
第5講 「一般化のワナ」に注意しよう
- 哲学的思考、その前に①
第6講 「問い方のマジック」にひっかからない
- 哲学的思考、その前に②
第7講 相手をいい負かすための議論術
- でも、それはとてもむなしい
第8講 ここから思考をはじめよう
- 帰謬法を封じ込める
第9講 世界は欲望の色を帯びている
第10講 信念の対立をどう乗り越えるか
第11講 生きづらさを乗り越える
第12講 今すぐ使える哲学的思考(1)
〜"事実"から"〜すべし"を導かない〜
第13講 今すぐ使える哲学的思考(2)
〜"命令"の思想ではなく"条件解明"の思考〜
第14講 今すぐ使える哲学的思考(3)
〜思考実験にご用心〜
第15講 哲学対話をはじめよう
第16講 本質観取をやってみよう
〜「恋」とは何か?〜
最終講 哲学的思考はシンプルであれ

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」という文ではなく、「〇〇である。」という文です。

 

大学の先生が書いた本ですが、専門書のような文体ではなく、「我思う」「汝は‥」のような哲学書にあるような文体でもなく、講義を受けているような非常に読みやすい文体で書かれています。

 

概要

本書は、日常生活でも仕事でもなく、哲学を説明する本です。

ただ、本書の内容は、日常生活や仕事でも使えるような内容だと思ってます。

 

特に、誰かと議論をするようなときです。

ネット上でも、仕事の現場でも、何かしら意見を言い合うことがあると思いますが、その際に気をつけることや、より建設的な議論にするための方法が述べられています。

 

哲学とは"共通了解"を得ようとすること

本書で言いたいことは、「哲学とは共通了解を得ようとすること」ということだと思います。

この定義は、今までに「哲学とは」でネット検索して調べた中で、一番分かりやすく、一番興味を抱かせてくれました。

 

より一般的な定義としては、以下のように定義しています。

 

もちろん、哲学者じゃなくても「教育とは何か?」と考えることはある。でも、こうした「そもそも」を考えるための"思考法"を、2500年もの長きにわたってとことん磨き上げてきたものこそが、哲学なのだ。
‥そんなわけで、哲学とは何かという問いにひと言で答えるなら、それはさまざまな物事の"本質"をとらえる営みだということができる。

はじめての哲学的思考

 

「教育とは何か?」「いじめはなぜいけないのか?」というようなことの、"本質"をとらえることが哲学ですが、この世には異なる考えを持った人がたくさんいます。

そのため、1つの解を求めることは難しいです。

 

だから、それぞれ違った考えを持った人であっても、"共通了解"を得られるように、物事をいろいろな角度から見たり考えたりして、解に近づいていくということです。

 

以下の説明が一番しっくりきました。

 

「よい社会って何だろう?」「よい教育って何だろう?」みたいなむずかしい問いに直面すると、「ま、考え方は人それぞれだよね」で済ませようとする傾向がある。
でも、僕たちの人生にはそれでは済まない時がある。
‥そんな時、哲学は、「ここまでならだれもが納得できるにちがいない」という地点まで考えを深めようとする。そしてすぐれた哲学者たちは、いつの時代も、もうこれ以上は考えられないというところまで思考を追いつめて、それを多くの人びとの納得へと投げかけてきたのだ。

はじめての哲学的思考

 

「人それぞれだよね」というのは正しいと思うのですが、それでは共同生活ができないと思います。

同じ国、同じ地球のなかで生きていくには、考え方を1つにしていかなければならないようなこともあると思います。

環境問題、差別問題などです。

 

そういったことについて、「だれもが納得できそうなレベル」まで考え抜いて、納得させようとするのが哲学のようです。

 

哲学は過去の考えを受け継ぎながら否定しながらできている

「哲学」の本を読まないと教養がないと思われると不安になっている人がはじめにしようとすることは、過去の有名な哲学者の本を読むことだと思います。

僕はそうしようとしていました。

 

ただその前に、本書を読んで、「哲学は過去の思考を受け継いだり、否定したりして今日まで来ている」ということを知っておいた方がいいと思います。

その流れを組みながら読んでいかないと、混乱していくのではないかと思いました。

 

哲学の考えは、リレーのように過去の哲学者から順にバトンを渡しているようなイメージのようです。

 

よく、哲学は答えのない問題をただぐるぐる考えているだけだといわれることがある。でもそれはまったくの誤りだ。すぐれた哲学者たちは、前の時代の哲学者たちの思考を受け継ぎ、そしてそれを確実に推し進め深めてきたのだ。

はじめての哲学的思考

 

上記のように「受け継ぐ」だけではなく、下記のように「否定」もあるようです。

 

哲学の歴史は、弟子が師匠をとことん批判してできた歴史であるといっていい。
‥先人のすぐれた思考を受け継ぎながらも、足りないところは徹底的に批判する。そして、思考をもっと先へと展開していく。それが哲学の精神なのだ。

はじめての哲学的思考

 

共通了解の答えに近づくために、その時代その時代で、哲学者が「これだ!」と思った考えを更新していくような歴史のようです。

 

このような歴史であるということを知らずに過去の哲学者の本を読むと、うまく理解できないかと思いました。

過去の哲学者の本から新しい哲学者の本を順番に読むか、または新しい哲学者から読む方がいいのではないかと思ってます。

 

知っている哲学者の本を、歴史の流れを意識せず読むと混乱するのではないかと思いました。

 

ただ、僕はまだ哲学者の本を読んでいませんので、本書を読んだ僕の感想だと思ってください。

実は、適当に選んで読んでも面白いのかもしれません。

 

また、「テーマ」選びも大事なのではないかと思います。

 

僕は、「社会をより良くするには?」というテーマは興味がありますが、「愛とは?」「教育とは?」というテーマにはそこまで興味がありません。

 

哲学者は、それぞれのテーマで考えているようなので、自分が興味があるテーマについて考えている哲学書を読んでいくという方法も良い方法なのではないかと思ってます。

 

哲学者でもおちいる、認識のズレに注意

議論をしていて、考え方が違うため、一向にゴールが見えないことは何度も経験しています。

特にサラリーマン時代(2007年〜2018年)に、会議や打ち合わせで幾度となく経験しました。

 

今更ながら、これは、「認識のズレ」のせいだったのではないかと思ってます。

 

たとえば、教育学や社会学の世界では、さまざまな科学的(統計的)な調査を通して、かつて子どもたちの「学力低下」を"事実"として指摘する人たちがいた。でも他方では、そんな"事実"なんかないと主張する人たちもいた。
なぜそんなことが起こるのか?その1つの理由は、人によって何を「学力」とするかにズレがある点にある。

はじめての哲学的思考

 

会社の中で特に、営業部隊と技術部隊ではよくバチバチ戦っていた印象があります。

 

これらは「会社としてどうしていくべきか?」「会社の目的は何か?」というのが両者で一致していなかったからだと思ってます。

 

それぞれ自分たちが正しい考えだと思っているはずで、また、お互いが同じ会社に所属しているので、「会社をよくする」とか「お客さまのためにする」という認識は合致しているはずだと勘違いしていたのでしょう。

 

お互いで共通認識を持つために、場を持った経験はありませんでした。

社長や経営層が、ホームページで提示したり、全社員が集まる全社集会で発言していたと思うのですが、それらが消えてしまい、認識がズレていったのだと思います。

 

反省しないといけないと思いました。

 

とにかく議論をする前に、目的(その議論の目的ではなく、会社としての目的)の認識を合わせるべきだと思います。

 

「なぜ自分たちの会社は存在しているのか」「どのように社会貢献するのか」というようなことを、部署は関係なく、全員で共通に持てるように、話し合い続けることが大事だと思いました。

 

当然、哲学と同じで、答えが簡単に出るようなものではないと思います。

相反する意見があると思います。

ただ、「だれもが納得できそうなレベル」まで考え抜いて、認識を合わせようとしていくことが大事だと学びました。

哲学書を今後読んでいこうと思っている人にオススメ

僕は哲学の話だけでなく、仕事や日常生活でも役に立ちそうなことを学ぶことができました。

 

また、さまざまな哲学者の考え方も読んでみたいと思うようになりました。

その際に、本書で学んだ、哲学者たちが思考を引き継いできているという話が役に立つと思ってます。

 

このように、今後、哲学書を読もうと思っている人に、本書をオススメしたいと思います。

 

1-4. 僕が学んだこと

本書の内容とともに、僕が学んだことをまとめていきたいと思います。

 

①帰謬法に注意

「帰謬法(きびゅうほう)」という言葉が出てきたのですが、意味を理解したら、「仕事中にやられていたかもしれない」と気付かされました。

これは、ある意味、卑怯なやり方だと思ってます。

 

相手をいい負かすための、一見無敗の議論術。それは哲学用語で「帰謬法」と呼ばれている。ひと言でいうなら、相手の主張の矛盾や例外を見つけ出し、そこをひたすら攻撃・反論しつづける論法だ。

はじめての哲学的思考

 

例えば、「それは時と場合によりますよね?」とか「あなたの言っていることは絶対に正しいと言えるの?それって絶対なの?絶対?」と言いつづけるような論法のようです。

 

そもそも、何かを議論するというときは、例外もあるし、絶対ではないことが多いはずです。

そうでないと、議論する必要がないはずですからね。

 

これまでずっといってきたように、僕たちにはそもそも「真理」なんて分からない。つまり、帰謬論者にいわれなくても、あらゆる命題は「真」とはいえないなんてことは、哲学的には織り込み済みの前提なのだ。

はじめての哲学的思考

 

仕事上での会議も上記引用文と同じことが多いのではないでしょうか?

いろいろ意見があり方向性があるため、みんなで話し合って、1つの方向性を決めましょうという議論です。

 

その1つの方向性を見つけていくために意見を出し合うはずです。

 

それなのに、上記のような帰謬法を使われると、これ以上議論が進みません

 

僕の会社には、帰謬法のような意見を言い続ける人がいました。

僕は、「その人の上司を説得して、上司からその人に説得してもらう」という方法でなんとか切り抜けていました。

こういう人は、「上下関係を重んじる」傾向があるようで、僕としての戦略でした。

 

とにかく、議論は、"共通了解"を見つけていくものです。

絶対的な真理を見つけることではないです。

今置かれている環境や会社の業績、業界の仕組みなどを考慮して、より良い方向性を見つけていくために、話し合うということをまずは理解してもらうことが大事だと思いました。

 

僕も帰謬法が好きなのかも‥

帰謬法は議論においてはあまり良くないものだと思っているのですが、ちょっと気になる文がありました。

 

懐疑主義というのは、文字通り「この世にたしかなものなんてないんじゃないか」と疑い抜く態度のこと。だからその思考の方法は、当然ながら帰謬法が基本になる。

はじめての哲学的思考

 

僕はどちらかといえば懐疑的です。

「世の中に成功法則なんてない!」「英語を極める法則なんてない!」のように、法則や方法論に疑問を持つことが多いです。

ビジネス書の成功法則とか、英語の勉強方法とかですね。

 

「完全には信じない」というだけで、参考にはします。

自分に合っている方法を探して、使わせてもらいます。

 

ただ、100%成功するとは思わないというだけです。

 

でも、懐疑的すぎると、どんなことに対しても帰謬法を使うようになるかもしれません。

頑固に考え方を変えないのは僕としては困ります。

もっと柔軟な考え方を持ちたいです。

 

本書を読んで、帰謬法については、あまりよろしくないと思うようになりましたので、懐疑的になることについても、もう少し緩やかにしようと思いました。

 

ただ、「誰でも成功する方法が100万円!」とか、自分が不利益を被りそうなときは、懐疑的になろうと思います。

時と場合によるということで、柔軟に対応したいと思います。

 

②超ディベートをする

本書では、ディベートにおける、建設的なやり方が書かれていましたので紹介します。

 

いわゆる競技ディベートのように、肯定側と否定側、どちらが説得力があったか競うのではなく、お互いに納得できる"第3のアイデア"を見出し合う対話、それが超ディベートだ。

はじめての哲学的思考

 

本書で言いたいことは、上記の引用文にすべて含まれていると言っても過言ではありません。

「互いに納得できるアイデア」を出すことが重要なわけです。

 

その進め方として、以下の流れが提示されていました。

 

超ディベートの進め方
① 対立する意見の底にある、それぞれの「欲望・関心」を自覚的にさかのぼり明らかにする
② お互いに納得できる「共通関心」を見出す
③ この「共通関心」を満たしうる、建設的な第3のアイデアを考え合う

 

何かに対して意見がある場合、そこには、「欲望」が潜んでいるはずだということです。

まずは、それぞれの主張者のその欲望を明らかにしていくことから始めるということでした。

 

そして、この方法の注意点があり、それは妥協ではないということです。

 

注意点として、"妥協点"を見出し合うのではなく、どちらもが納得できるよりよい"共通了解""第3のアイデア"を、共に見出し合うことをめざす。

はじめての哲学的思考

 

妥協ではなく、共通了解されたアイデアです。

そこへ行き着こうとして、深く考え、話し合うことが大事だということですね。

 

2. 終わりに

本書を読むことで、哲学だけでなく、仕事上やネット上(Twitterなど)での議論に役立つようなことも学ぶことができました。

 

また、哲学について、さらに学びたいと思えるようになりました。

 

一つの命題について、意見が異なるさまざまな人たちで同じような認識を持てるよう、考え抜き、そして、納得してもらえるよう話し合っていくことは、今後、いろいろなところで発生するかもしれません。

今は、インターネットがありますから、日本人同士だけでなく、文化が異なる外国人とも話し合いが必要な場面もあるかもしれません。

 

そういうことを行う前の準備として、本書は非常に有益な情報が書かれています。

 

哲学だけでなく、人々と意見を交わし合うときのテクニックのようなものを学びたいと思っている人は、ぜひ本書を手にとってみてください。

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