【45冊目】「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」

記事まとめ

  • 「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「世界は数式や法則で表せるようにはなっておらず、そういう世界をシステム化させることは、予測できなかった出来事により、簡単に壊れてしまう危険があるため、世界が予測不可能だという現実を受け入れ、壊れにくいシステムとしていくよう考え方を変える必要がある」ということを学んだ
  • 世の中の出来事について、一般的に出回っている考え方とは少し違う側面で考えてみたい人に本書をオススメしたい

 

「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「数式や法則で制約をかけるような社会システムは弱いということと、予測不能である世界を受け入れ、もっと自然のなりゆきをも味方にするような生き方をすべきということを教えてくれる本」です。

 

本記事のタイトルに「生活指南書」と書きましたが、本書は、哲学な話や経済学な話など広い分野に向けて書かれており、生活に役立つものだと思ったため、「生活指南書」としました。

 

哲学や心理学を学ぶ専門書ではなく、専門用語が多いわけでもないので、比較的読み進めやすい本だと思います。

ちなみに僕は、本書を読み終えるのに、176分(2時間56分)かかりました。

 

タイトルに「下」とあるように、本書は上巻と下巻があるうちの下巻となります。

上巻は以下でレビューしています。

 

上巻と同様、下巻も「反脆弱性」という、壊れるとパワーアップして再生するようなものの事例が続きます。

いや、それよりも、ランダム性が強い世界なのに、その世界を数式や法則で示し、それに従って社会を動かそうとする人たちへの批判が主ですかね。

 

著者はとにかく、経済学者やコンサルタントを良く思っていないようです。

本書では、「身銭を切らないで稼いでいる人」と位置づけています。

お金やリスクを伴わずに、理論などを作り、お金やリスクを追って生きていく起業家や一般人をカモにしているという主張です。

 

世の中はランダム性であり、予測できないのに、予測しようとしたり、理論に当てはめるような社会システムにし、予測できなかった出来事が起こったら、特に反省や謝罪をするわけではなく、新しい理論を作っていき、また予測できない出来事が発生し、社会システムを壊す。

 

このような繰り返しが各地で起こっているため、著者は怒っています。

 

その話は、健康や医療の話まで拡張されています。

つまり、医者も対象になっています。

 

この辺りの話を読んでいくと、僕は、「ちょっと主張が偏りすぎではないか?」と思うようになってしまいました。

 

つまり、本書の上巻や前著の「ブラック・スワン」では、著者の意見に納得する部分が多かったのですが、下巻を読んで、著者の意見に賛同しなくなってしまったということです。

 

 

当たり前なのですが、本書では、著者の意見が正しいと思えるような事例を、過去や現在の事例から引っ張ってきてます。

その事例をたくさん読んでいくと、「著者の意見が間違っているような事例を排除しているのではないか?」と疑うようになりました。

 

この疑いは、著者が嫌う、経済学者やコンサルタントが行うような、成功法則の作成において、失敗例のほとんど無視することを疑うのと同じだと思います。

 

ある意味、僕が著者の考えに近づいたため、著者さえも疑うようになったという言い方もできると思います。

僕は、著者も著者の否定する人たちも、両方信じられなくなってしまいました。

 

もう、自分が経験したこと以外、簡単には信じないでしょうね。

 

このように、僕は、「懐疑主義」の考えがより深まることになりました。

人によって本書のとらえ方は違うと思いますが、物事を疑う傾向が強い人は、もっと疑うことになるのではないかと思います。

 

世の中、いろんな人がいて、いろんな考えがあると思います。

1つの考え方に偏るよりは、考え方を変えなくてもいいので、他の考え方を知っておくのは悪くないと思います。

視野が広くなりますからね。

 

このように、一般的に出回っているような考え方とは違う考え方を学びたいと思っている人に、本書をオススメしたいと思います。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。



 

 

1. 「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について

 

「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」です。

タイトルの「下」のとおり、上巻と下巻に分かれており、本書は下巻です。

 

原著について

本書は翻訳本です。

原題は「Antifragile: Things That Gain from Disorder」です。

 

原著は上巻と下巻には分かれていないようです。


1-2. 著者について

著者は、「ナシーム・ニコラス・タレブ」です。

以下のウェブサイトを運営しているようです。

Nassim Nicholas Taleb's Home Page

 

Twitterアカウントは以下のようです。

Nassim Nicholas Taleb(@nntaleb)

 

経歴

「ナシーム・ニコラス・タレブ」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

文筆家、トレーダー、大学教授および研究者という三つの顔を持つ、現代の急進的な哲学者。生涯を通じて、運、不確実性、確率、知識の問題に身を捧げており、主な研究テーマは「不透明性のもとでの意思決定」、つまり人間にとって理解不能な世界で生きていくための地図やルールについて考えること。

反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

文筆家が書いた本となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第17章 デブのトニー、ソクラテスと相対す
第18章 1個の大石と1000個の小石の違いについて
第19章 賢者の石とその逆
第20章 時と脆さ
第21章 医学、凸性、不透明性
第22章 ほどほどに長生きする
- 「引き算」の力
第23章 身銭を切る
- 他人の犠牲と引き換えに得る反脆さとオプション性
第24章 論理を職業に合わせる
- 自由と自立
第25章 結論

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」ではなく、「○○である。」という文です。

 

専門用語はそれほど出てきませんので、読み進めやすい本だと思います。

 

概要

本書は、日常生活にも仕事にも関係するような本だと思ってます。

心理学、経済学、哲学などが関係している本です。

 

そのため、人によって本書の活用の仕方が違うと思います。

僕は、日常生活や起業における考え方として参考になりました。

 

下巻を読むと、著者さえも疑うようになってしまった

本書の上巻や、前著の「ブラック・スワン」を読んだとき、今までになかった考え方だったので、日常生活に役立つものと思っていました。

 

ただ、本書を読んでいく中で、ちょっと著者の主張が思い込みが強すぎるのではないかと思うようになってきました。

つまり、著者の主張に合うような事例を持ち出しているだけで、それ以外の事例を無視しているように感じてきたわけです。

 

著者は、世の中はランダム性であり、予測できないし法則化できないという主張ですが、この著者の意見については納得しています。

ただ、著者が持ち出す、今ある法則化に対する反対の例が、すべてではないですが、納得しにくいものがありました。

 

以下は、食事の研究結果の例です。

 

ソビエト=ハーバード式のアメリカ保健当局は、一定量の栄養素(合計カロリー、タンパク質、ビタミンなど)を、推奨される量ずつ毎日とるよう国民に勧めている。
‥現在、食料のばらつきの影響や生理的反応の非対称性が、生体系にとって重要だということがわかってきた。月曜日にタンパク質をまったくとらず、水曜日にまとめてとるのは、規則的にとるのとは異なる(しかもよい)生理的反応を引き起こすようだ。たぶん、栄養素の欠乏がストレスとなり、その後の栄養素の吸収を促進する経路か何かが活性化するからだろう。

反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

今までの、「毎日推奨される栄養素を取りなさい」ということを否定するような研究結果が出てきたという話です。

これ自体は、よいことだと思います。

 

まさにブラックスワンです。

「白鳥は白色である」と思い込んでいて、実際は黒い白鳥がいるという現実に気付いていなかったのと同じことです。

 

今ある常識を疑うことは悪くないと思います。

 

ただ、上記の引用文は、参考文献が示されておらず、本当かどうか分からないです。

特に健康に関する研究結果はいろいろ出てきて混乱しますよね。

 

「〇〇がよい」「〇〇は悪い」と相反する研究結果が出てきます。

しっかり研究結果を読むと、分量を気をつけないといけないとか、細かな違いがあるのだと思いますが、その辺りをしっかり示してもらわないと一般人は混乱します。

 

また、以下の引用文のように、「歩き」についても話が出てきてます。

 

私は、歩きはたぶん眠りと同じくらい人間にとって必要なものだと思っている。ある時点から、現代人は歩くことを正当化できなくなり、減らそうとしはじめた。現時点では、ゆったりと歩くのが睡眠と同じくらい必要なのかどうかは不明だが、自動車が登場するまで、先祖たちはみんな歩き(や眠り)にかなりの時間を費やしていたのだから、私はこの考え方に従おうと思う。どこかの医学誌がこの考えに気づき、査読者たちが"証拠"と認めるものを見つけるのなんて待たずに。

反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

これらはあくまでも、「常識を疑え」という例だと思っていますが、このような例を証拠がないまま出されても、例自体を信用できず、今までの常識は正しいと思ってしまいます。

 

多分、著者としては、それでいいのだと思います。

研究結果や成功法則のような後付けのこじつけを、そのまま信じるなという主張ですから、上記のような例もすんなりと信じることは避けた方がいいと言いたいのだと思いますので。

 

ただ、このような話が続くと、著者がしている主張さえも、信じられなくなってきました

もう何も信じられない状態です。

 

本書はそういうことを言っているのではありません。

ランダム性があるものについては疑い、ランダム性がないようなものは法則や理論に則ってよいと言ってます。

 

ただ、そういうことさえも、疑うようになってしまいました。

 

まずは疑い、少しずつ信用する

僕は今後、「物事を疑ってかかり、少しずつ信用していく」という手法を取ろうと思います。

 

世の中の成功法則や予測家さんの予測は、必ず疑ってかかります。

ただ、何もかもを疑ってかかると、自分が行動するときの参考例がなくなり、何もわからず、行動できなくなります。

 

そのため、成功法則や予測は信じすぎずに、参考例として利用するようにします。

「100%うまくいくやり方ではない」と思いながら、1つのやり方として参考にします。

 

そして行動を起こしながら、自分や現在の環境にあっていそうならそのまま続けるし、そうでなければやめます。

 

その法則を信じ込みすぎて、成功するまでやり続けるということはやめようと思います。

 

著者がいうような考え方も、それに反する考え方も、疑いを解くことはせず、実践する中で、少しずつ信用するスタンスで行くことにします。

一般的な考え方と違う考え方を学びたい人にオススメ

本書は、今までの常識を疑うことような考え方であり、常識にとらわれすぎて、大損害を被る恐れもあるわけなので、非常に参考になる考え方だと思いました。

 

「脆い」「反脆い」という考え方も面白いです。

 

このような普通とは違う考え方で、世間や社会システムをとらえるのも悪くないと思いました。

同じ考えや同じ視野で物事を見続けると、それが本当に間違っていた場合、取り返しがつかないことになるかもしれませんからね。

 

ただ、著者の主張をすべて100%信じることはしません。

著者の主張のいいところと常識のいいところを、いいとこ取りするように、時と場合により柔軟な考え方で生きていきたいと思います。

 

このように、一般的な考え方とは違う主張を著者はしていますので、物事を考える時の視野を広げたいと思っている人に、本書をオススメします。

 

2. 終わりに

本書の「世の中はランダム性である、不確実である」「法則で表されたシステムは弱い」という主張は間違っていないと思ってます。

 

僕も賛同したいと思います。

世の中は予測不能なことが多々起こっているというのは、良くわかっていますからね。

 

今までの常識がくつがえされるようなことも、あると思います。

 

今までの自分の中の経験、常識だけで、物事を判断しすぎると、危険だと感じました。

もっと柔軟に、物事をいろいろな視点から見れるようになりたいと思います。

 

「反脆弱性」という考え方のように、一般的に語られる考え方とは違う考え方を知りたい人は、本書を手にとってみてください。

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