【44冊目】「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」

記事まとめ

  • 「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」の本をまとめた
  • 本書を読むことで、「世界は数式や法則で表せるようにはなっておらず、そういう世界をシステム化させることは、予測できなかった出来事により、簡単に壊れてしまう危険があるため、世界が予測不可能だという現実を受け入れ、壊れにくいシステムとしていくよう考え方を変える必要がある」ということを学んだ
  • 世の中の出来事について、一般的に出回っている考え方とは少し違う側面で考えてみたい人に本書をオススメしたい

 

「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」を読みました。

本書について一言で紹介するなら、「数式や法則で制約をかけるような社会システムは弱いということと、予測不能である世界を受け入れ、もっと自然のなりゆきをも味方にするような生き方をすべきということを教えてくれる本」です。

 

本記事のタイトルに「生活指南書」と書きましたが、本書は、哲学な話や経済学な話など広い分野に向けて書かれており、生活に役立つものだと思ったため、「生活指南書」としました。

 

哲学や心理学を学ぶ専門書ではなく、専門用語が多いわけでもないので、比較的読み進めやすい本だと思います。

ちなみに僕は、本書を読み終えるのに、426分(7時間6分)かかりました。

 

僕は本書を読む前に、本書と同じ著者の「ブラック・スワン」という本を読んでいます。

 

「ブラック・スワン」は、本書を同じ主張で、「世界は予測できるようなものではなく、成功法則などは後づけされたこじつけのようなものだ」というようなことが書かれています。

僕も同じような考えで、「成功法則なんてない」と思っていたため、著者の意見に賛同し、本書も手に取ってみました。

 

ただ、考えが少し変わりました

 

確かに、「成功法則はない」という考えは残っているのですが、それを突き詰めすぎると、何も行動を起せなくなる危険があると思ってしまいました。

 

「すべては運だ」とか、「予測できないので、何も考えずにやるべきだ」とか、そういう考えになる危険です。

 

本書(著者)は、そういうことを言っているわけではないのですが、著者が言っていることを十分理解して読み取らないと、間違った方向へいきそうだと思ってしまったわけです。

少し気をつけながら本書を読む方が良いと思ってます。

 

本書1つの考え方に偏ることはよくないと思ってますが、そもそも本書以外の、一般的な考え方に偏るのもよくないと思っています。

 

本書で語られる話は、一般的な考えを否定するようなものだと思っていますが、そういう考え方も学んでおく方がいいと思います。

 

より柔軟な考えができるようにしておかないと、いろいろな相反する出来事が起こったときに、柔軟な対応ができないでしょうからね。

 

そういう意味で、本書で語られる話を信じる/信じないにしても、一読して、新しい考え方を学ぶということは良いアプローチだと思ってます。

 

一般的に出回っているような考え方とは違う考え方を学びたいと思っている人に、本書をオススメしたいと思います。

 

それでは本記事で、僕が本書から学んだことをご紹介していきます。


1. 「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」のレビュー

  • 1-1. 本のタイトルについて
  • 1-2. 著者について
  • 1-3. 目次と概要について
  • 1-4. 僕が学んだこと

 

「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」についてレビューします。

1-1. 本のタイトルについて

本のタイトルは、「反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」です。

タイトルの「上」のとおり、上巻と下巻に分かれており、本書は上巻です。

 

また、タイトルの「反脆弱性」は、以下のように説明があります。

 

衝撃を利益に変えるものがある。そういうものは、変動性、ランダム性、無秩序、ストレスにさらされると成長・繁栄する。そして冒険、リスク、不確実性を愛する。こういう現象はちまたにあふれているというのに、「脆い(もろい)」のちょうど逆に当たる単語はない。本書ではそれを「反脆い(はんもろい)」または「反脆弱(はんぜいじゃく)」(antifragile)と形容しよう。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

1度何か出来事が起こり壊されても、以前よりパワーアップして再生するようなイメージです。

 

以下の小包の話が分かりやすいと思います。

 

脆い小包とはよくても無傷な小包であり、頑丈な小包はよくても悪くても無傷な小包であり、脆いとは正反対の小包は悪くても無傷な小包というわけだ。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

脆いの反対は、「頑丈な」とか「耐久力がある」ということではないため、「反脆い」という言葉を本書では使っています。

小包を運ぶ場合、以下のように書かれると思いますが、「脆い」と「反脆い」では違うことが書かれます。

 

脆い小包に書かれること
「脆い」「ワレモノ注意」「取扱注意」

 

反脆い小包に書かれること
「取扱不注意」「乱暴にお取り扱いください」

 

「反脆い」ものは、乱暴な扱いを受けることがプラスになるようなものだと思ってもらえると良いかと思います。

 

「頑丈な」とか「耐久力がある」小包であれば、何も書かれないと思いますので、「反脆い」とは違いがあります。

 

 

世の中は不規則な世界ですので、10年に1度のような災害が発生することは避けられません。

そのため、そういったものを予測しようとするのではなく、発生しても、影響を少なくするようにすべきだということです。

著者は、「現代の社会システムは、数式や法則に当てはめようとしてできたものであり、脆弱だ(弱い)」と主張しています。

 

原著について

本書は翻訳本です。

原題は「Antifragile: Things That Gain from Disorder」です。

 

原著は上巻と下巻には分かれていないようです。


1-2. 著者について

著者は、「ナシーム・ニコラス・タレブ」です。

以下のウェブサイトを運営しているようです。

Nassim Nicholas Taleb's Home Page

 

Twitterアカウントは以下のようです。

Nassim Nicholas Taleb(@nntaleb)

 

経歴

「ナシーム・ニコラス・タレブ」の経歴については、本書によると以下のとおりです。

 

文筆家、トレーダー、大学教授および研究者という三つの顔を持つ、現代の急進的な哲学者。生涯を通じて、運、不確実性、確率、知識の問題に身を捧げており、主な研究テーマは「不透明性のもとでの意思決定」、つまり人間にとって理解不能な世界で生きていくための地図やルールについて考えること。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

文筆家が書いた本となります。

 

1-3. 目次と概要について

本書の目次は以下のとおりです。

タイトル
第1章 ダモクレスとヒュドラーの間で
第2章 過剰補償と過剰反応はどこにでもある
第3章 ネコと洗濯機
第4章 私が死ねば、誰かが強くなる
第5章 青空市とオフィス・ビル
第6章 ランダム性は(ちょっとなら)すばらしい!
第7章 浅はかな干渉
- 医原病
第8章 予測は現代性の生みの子
- ブラック・スワンの世界へ
第9章 デブのトニーとフラジリスタたち
第10章 セネカの処世術
第11章 ロック・スターと10パーセント浮気する
- バーベル戦略
第12章 タレスの甘いぶどう
- オプション性
第13章 鳥に飛び方を教える
- ソビエト=ハーバード流の錯覚
第14章 ふたつが"同じもの"じゃないとき
第15章 敗者が綴る歴史
- 試行錯誤の汚名をすすぐ
第16章 無秩序の教訓

 

「だ・である調」

本書は、「です・ます調」ではなく、「だ・である調」です。

本ブログのような「○○です。」ではなく、「○○である。」という文です。

 

専門用語はそれほど出てきませんので、読み進めやすい本だと思います。

 

概要

本書は、日常生活にも仕事にも関係するような本だと思ってます。

心理学、経済学、哲学などが関係している本です。

 

そのため、人によって本書の活用の仕方が違うと思います。

僕は、日常生活や起業における考え方として参考になりました。

 

「ブラック・スワン」という本との違い

本書の著者の「ブラック・スワン」という本と、主張は同じです。

世界は、法則や数式で表せるようなものではなく、ランダムな複雑なものであるということです。

 

人生というのは、私たちの記憶の中にあるイメージよりも、ずっとずっと迷路のように入り組んでいる。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

このようなランダムな世界なのに、法則や経済学のようなもので、出来事が起こった後の後付けの理論によって、社会をシステム化しても、別の予測できなかった出来事が起こったときの衝撃・影響が大きすぎて危険だということを主張しています。

 

本書では、そういう脆弱なシステムではなく、「反脆弱」なシステム、つまり、予測できないような出来事が起こってもすぐに立ち直るようなシステムにすべきだという主張であり、本書では、「脆弱」と「反脆弱」の例が多数紹介されています。

 

「ブラック・スワン」という本は、同じ主張ですが、本書の方が主要書になるようです。

 

本書の方が主要書である。『ブラック・スワン』はいわば本書の補助的な作品であり、理論的な裏づけを提供している。本書のミニ付録のようなものといってもいいかもしれない。なぜか?『ブラック・スワン』(とその前作の『まぐれ』)は、危機的な状況をみんなに訴えるために書いたもので、そこにかなりのウェイトを置いていた。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

上記の引用文のとおり、「ブラック・スワン」は補助的な本の位置付けのようですので、読まなくても、本書を理解することは可能だと思われます。

 

とにかく著者が言いたいのは、予測できないということ

著者が本書で何度も言っているのは、「予測できない」ということです。

「予測できない」ことを受け入れるべきだという主張です。

 

私がここで言いたいのは、システムに自然に備わっている反脆さや自浄能力を無視するのはやめよう、ということだ。そして、システムから自浄の機会を奪って、システムに害や脆さを与えてしまうクセを直そうということなのだ。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

何でもかんでも集中管理的にシステム化させると、そのシステムの前提予測が外れたときに、非常に大きな損害を被ることになります。

そもそも自然には、自動で回復するような事柄もあるので、そういったものまですべてを、システム化させるのは良くないという主張です。

 

全部が全部を否定しているわけではないです。

すべてをシステム化するのは危険だという主張です。

 

また、システム化(法則化、理論化)するより、システムの脆さを調べるべきだと主張しています。

 

脆い橋が崩壊したのを、最後に横切ったトラックのせいにするのはバカげている。そして、どのトラックで橋が壊れるかを前もって予測しようとするのはもっとバカげている。だが、実際にはそれがしょっちゅう行われている。
‥調べなければならないのは事件そのものではなく、システムやその脆さなのだ。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

「予測性能をあげよう」「事件の原因を調べてシステムに盛り込もう」としても、事件はランダムに起こるため、必ず予測できなかったことが起こると言ってます。

 

1度起こったことを再度起こらないようにすることの重要性は著者も認めてます。

ただ、「予測は絶対にできない」という主張です。

 

予測するのではなく、脆いシステムを減らそうとすることが大事

「予測できない」ので、そういう出来事が起こってもいいようなシステムを作ることに主眼を置くべきだと著者は言っています。

 

事象が起きたあと、私たちが反省すべきなのは、事象(たとえば津波、アラブの春や暴動、地震、戦争、金融危機など)そのものを予測できなかったことではなく、脆さや反脆さを理解していなかったこといついてだ。「どうして私たちはこの種の事象にこれほど脆いシステムを作ってしまったのか?」と考えるべきなのだ。津波や経済危機を予見できないのは仕方がない。でも、津波や経済危機に対して脆いシステムを作るのは罪だ。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

著者は、原子力発電所の事故の後に、発電所を地下に埋めて、地震や津波に影響ないようにしようとすることをヨシをしていました。

 

震度7でダメだったから震度7で大丈夫なシステムにした場合、震度7より大きい地震で壊れるかもしれません。

震度7以上を予測できないわけです。

 

なので、そういう対策を施すよりも、システム自体を、脆いものではないシステムに作り変えるような考え方をすることが大事なのだと思います。

 

一部極端な主張も見られるため、しっかり検討して取り入れたい

著者の考え方は、僕も悪くないと思っているのですが、一部極端すぎる例もあると思ってます。

 

本書を読む前に、「はじめての哲学的思考」という本を読んだのですが、その中で、「懐疑的に考える人は、帰謬法(きびゅうほう)という、矛盾を指摘し続ける主張の仕方をする」と学びました。

本書の著者も似たように、「こういう考えではそうだが、こういう側面では違うだろ」という主張が多いです。

 

「反脆弱」や「予測不可能」という考え方は面白いと思ったのですが、やはり、物事すべてに対して当てはめることではないです。

これは著者も同じ意見だと思われます。

 

ただ、著者の主張に、のめり込みすぎると、あらゆることに「予測不可能」を結びつけ、「反脆弱」システムを求めるようになりそうに思いました。

自分で自分を柔軟に制御し、気をつけながら、著者の主張を感じとる方が良いと思いました。

 

著者と同じような主張の本ばかり読むのではなく、ときには、別の主張を読んで、いろいろな視野で物事を考えるようになった方がいいと思います。

一般的な考え方と違う考え方を学びたい人にオススメ

著者の「世界は予測可能なものではない」という主張や「壊れてもパワーアップして再生するようなシステムを考えるべきだ」という主張は、面白いですし、できるならそのようなシステムの方がいいと思っています。

 

また、世の中を便利にしたような発明品は、数々の失敗作品や失敗した起業家の上に成り立っており、そういった人々を無視し、なきものにするのはおかしいという主張もあり、これにも納得でした。

 

このように、一般的な考え方とは違う主張を著者はしていますので、物事を考える時の視野を広げたいと思っている人に、本書をオススメします。

 

1-4. 僕が学んだこと

本書の内容とともに、僕が学んだことをまとめていきたいと思います。

 

①起業やイノベーションは無学でも成功を導ける

僕は起業に興味があるのですが、心強い言葉があったので紹介します。

イノベーションは無学(学歴などは不要)でいいという主張です。

 

まずはイノベーションのために、小さな行動を起こし続けるということが大事のようです。

 

イノベーションを起こすには?まず、自分からトラブルに足を突っこむことだ。といっても、致命的ではない程度の深刻なトラブルに。私は、イノベーションや洗練というものは、最初は必要に迫られて生まれると思っている。いや、そう確信している。最初の発明や何かを作ろうという努力が思ってもみない副作用をもたらし、必要を満たす以上のイノベーションや洗練へとつながっていく。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

また、以下の主張のように、型にはまった(はまりすぎた)やり方ではイノベーションは生まれないと言ってます。

 

私たちの多くは、イノベーションがお役所的な助成や計画、(イノベーションなんていちども起こしたことがないくせに)肩書きだけはご立派なハーバード・ビジネス・スクールのイノベーション・起業担当教授、(これまたイノベーションなんていちども起こしたことがない)コンサルタントの助言で生まれると信じている。でも、これは誤解だ。産業革命からシリコンバレーの隆盛まで、無学の技術者や起業家が技術の躍進に対して果たしてきた貢献は、不釣り合いなほど大きい。

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

僕はこれまでにいろいろな本を読んできて、AI(人工知能)について興味が出てきてます。

前職はプログラマーではなくネットワークエンジニアなのですが、ビジネスの1つとして、AIを使ったビジネスを検討中です。

 

AIの会社や大学の研究室でなくても、イノベーションは起こせるかもしれないと思えるようになりました。

自分の信念を信じて、AIビジネス成功に向けて突き進みたいと思います。

 

②成功本やビジネス書に注意する

僕は成功本やビジネス書は、「本を読めば絶対に成功する」とは思っておらず、やり方の参考として読んでます。

 

本書は完全に、成功法則を否定しています。

そういう主張をする人たちに対しても良くないイメージを持っています。

 

基本的に以下のような流れになるからだということです。

 

トレーダーが取引する
→トレーダーが手法や商品について理解する
→経済学者が数式やを発見し、トレーダーが数式を使っていると主張する
→新米トレーダーが学者を信じる
→吹っ飛ぶ(原因は理論によって誘発された脆さ)

反脆弱性 上 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

すべての成功本もビジネス書も同じように、成功後に考え出したものだと思います。

それは著者が、大学教授であってもコンサルであっても、成功者自身であってもです。

 

その本を読んで、「成功できない‥」と思っている人は、少し考え方を変えた方がいいかもしれませんね。

 

成功本を読んで、世界の70億人が成功することはないです。

本書でも言ってますが、成功の陰にはたくさんの失敗者が存在しています。

全員が成功することはないわけです。

 

成功本やビジネス書にとらわれすぎずに、柔軟な考えで、利用させてもらう気持ちくらいがちょうど良いと思います。

型にはまっても、このランダムな世界では生き残れないと思われます。

 

2. 終わりに

上巻を読むことで、「反脆弱」という考え方が理解できました。

 

ただまだ、「じゃあどのように生きていけばいいのか?」というのが、理解できていません。

上巻でも語られているのですが、自分の生活や仕事に合致するような事例が出てこなかったのが原因かと思われます。

 

下巻もあるので、下巻を読んでから、今一度、自分の人生に適用できる考え方であるかどうか検討していみたいと思います。

 

このように、一般的に語られる考え方とは違う考え方を知りたい人は、本書を手にとってみてください。

 

(2020年3月21日追記)
「反脆弱性 下 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(著者:ナシーム・ニコラス・タレブ)」のレビューを以下の記事で書いてます。

 

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